丘の上病院から始めて現在にいたるまで、約18年間、絵を描き続けている。最初、自分は絵にはまったく興味がなかった。丘の上病院に入院中、院内で行われている〈造形教室〉の活動は知っていたが、一度も参加したことがなかった。ところが、父親が末期ガンになり医者から余命僅かと聞かされ、何故かふーっと吸い寄せられるようにして、絵を描き始めた。
丘の上病院が閉院後、〈造形教室〉は平川病院に移った。最初の頃は、通うのが楽しくてしかたがなかった。ほとんど休まずに通い、朝から夕方まで描いていた。移った当初は4人ぐらいしかいなかったメンバーも、段々と増えていった。
ただ、ここ数年は正直言って、絵を描くことが楽しくない。心臓を患ったことや、高齢の母親の体調が優れないこともあるのだと思う。でも、絵を描くことは続けている。いつの間にか、描くことが自分の生活にとって自然なものとして身についていった。
時々、内に秘めた何かが表現されているのかもしれない、と感じられるような作品が描ける時がある。描き上がった時、自分ではよくないなと思った作品でも、後から見ると違って見える時もある。
自分の絵が進化していると実感できるとうれしい。そういう実感があるから続けて来られたのだと思う。