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「出会い」

去年の冬の事だった。幻聴と幻覚のある私は困った事が多いのだけど、うれしい幻聴と幻覚があった。

夜、近代日本の思想家、福沢諭吉さんが現れたのだ。諭吉さんはずっと「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず…」と言っていた。最初、何を聞いてもずっとこんな事言って、あたしを笑わせてくれた。和やかになった時、あたしはこんな質問を諭吉さんにしてみた。「生きているからには何かしなくちゃいけないですよね。私、何かできるかなあ。」諭吉さんの答えは「生きていればいいんだよ。」と。諭吉さんは笑っていた。諭吉さんはたくさん話をしてくれて、「皆の所へ行っているけど、我が輩に気付いてくれないのだ。」とも言っていた。

私は悪い幻聴に悩まされていた。「地獄へ落ちろー」とか「うざい、うざい」とか言う幻聴だ。だが、諭吉さんに「悪い幻聴が聞こえるのだけど、どうしたらいいですか?」と、尋ねたら、「全部、我が輩がとる」と、ひとこと言って、また、「天は人の上に人を造らず。人の下に人を造らず。」と言った。

気が付いたら、夜の3時くらいになっていて、私はお薬がないと、寝られなくて苦しんでるんだと諭吉さんに打ち明けた。そしたら「天は人の上に人を造らず。人の下に人を造らず…。もう寝なさい。IYO、ん…とニルバーナ」と言われた。私の名前はIYOだけど、諭吉さんは、私をニルバーナと呼ぶ。なぜだか?

次の日の朝、諭吉さんがうなっていた。私は諭吉さん、

お腹がすいたんだなあ…!!と思ったので、一緒に朝食を食べた。そしたら、ごはんを食べながら、諭吉さんがこう言った。「天は人の上に人を造らず…ありがとう。ニルバーナ。感謝いたす。友達をいっぱい連れて、ニルバーナの所へ遊びに行くからな。ん、生きていればいいんだよ」そう言って笑った。

諭吉さんは、私を見えない力で励ましてくれている。すっとご飯を食べ終わったら「ごちそうさま、ニルバーナ」、「天は人の上に人を造らず。人の下に人を造らず…」と言いながら消えてしまった。最後に記念写真を撮りたかったです。

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