東京足立病院のアルコール病棟に入院し、病院内に創作活動専用の〈造形教室〉があることを知りました。
子供の頃から絵やもの作りが好きでした。仕事に就くようになってからは、そういう機会も時間もなくなりました。デイケアの病棟スタッフや、以前から〈造形教室〉に参加し、それぞれ自由に絵や版画、コラージュなどをやっている同僚からも勧められ、見学に行って、すごく興味を持ちました。はじめは絵を描いたりしていましたが、版画もやってみたら、それも深くはまっちゃいました。35年ほど建築の仕事をしていたこともあり、ミスを許されない緊張感が、妙にはまってしまい、これからは版画一筋。いろんなテーマや手法に挑戦して行こうと思います。
これまで三度ほどスリップして、元の木阿弥。やりかけの作品をやり遂げる思いで、なんとか自力で立ち直りました。いま思えば、あの時は〈造形教室〉と版画に出会っていなければ、いまでもただのアル中で終わっていたのではないか、としみじみと思っています。
今年の初めもスリップしてしまいましたが、やり残している作品の事などが気になり、絶対続けなければと意地でも自力で立ち直ることができました。“奇蹟”のごとく。