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『僕の中の私』

いつからだろう、僕が私を意識し始めたのは…。

幼少の頃、僕は非常に憶病で、泣き虫で、観る物全てが恐ろしく、他人を観るだけで家に走って逃げ込み鍵をかけ震えていた。そんな生きて行く事の出来ない憶病な僕は、いつの日か、「私」という者を授かった。その時からだろう、僕の中に私がいることを自覚し始めたのは。

小学校時代、僕は私を自由に発揮させていた。そのため、みんなは、常に私の顔色を伺う。私が機嫌を害したら大変なことになると思っていたのかもしれない。私は、小学校の先生方に両親を呼ばれ、酷く怒られた。「このままでは、社会でやっていけない。平等こそが大切なのだと」。その時、僕は私を戒めた。私を見せてはならない。いけない物であるのだと。

『中学に入り、僕の戒めとして、吃音と過度の緊張が私の自由を妨げる。喋らなければ、私は発揮されない。話す恥ずかしさが伴えば、過度の緊張で、私の発揮は阻害される。僕の戒めも強力だった。私の翼は縛られ、口には枷がはめられる。私は、身動きすら出来ない。周囲の友人達は変わり果てた僕に、同情する人達もいた。しかし、僕はそれで良かった。僕が私に与えた罰なのだから。そして、人間に私を見せてはならない。

私は、何度も生まれ変わり、今は僕の中で、身を潜めている。

周囲に警戒し、様子を伺いながら。私はいったい何がしたいのだろう…。

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