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昔々、昔の話である。

私がまだ幼い頃の、まだ何も知らない頃の話である。私は昆虫少年で、学校が終わると近所の野山を駆け回り、虫を追いかけていた。その中で特に採集するのに憧れていた虫は、大きな白い紋のあるモンキアゲハと言う蝶で、幼い私の心を魅了した。やがて私は大人になり、昆虫採集は止めてしまったが、その頃の記憶はまだ残っていて、その記憶を辿蝶の切り絵を作り始めた。それが今の美術家としての私の始まりなのである。

何故、昆虫採集から美術家に移ったのは、当時からやはり絵や彫刻に興味があったからである。特に私の心を惹いたのは、キュビスムで有名なピカソであった。その自由で豊かな色彩とユーモアな表現は、私の心を惹かれる気がした。私の作品群の一部には、そのピカソの影響は少しはあるかも知れないが、私、そう相川吉延の世界を特に出したつもりである。

やがて月日は流れ、その切り絵にマジックやペンなどを使うので、もはや切り絵とは言えなくなったのかも知れない。絵を描き始めた当時は、親戚や家族達に、こんな絵は世の人達は認めないと馬鹿にされたこともあった。それはそうかも知れない。何故かと言うと私の絵のジャンルは抽象画であり、親戚の叔父や家族にはその抽象画を認める人達は少なかった。しかし、私は自分の世界を突き進め、そして、今現在の作品に至るのである。

思い出は、大切な物である。先に記した様に今現在の私の表現は、昔々、昔の夏の暑い日々に大きなモンキアゲハを追いかけた幼い頃の思い出の中から現れた作品群なのである。

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