今回は、ジェマイユという技法を用いて、より絵画に近づいたアート・グラスを製作しました。10年ほど前に、私はジェマイユを見て、いつかこの技法で創作したく、頭の中で、あたためてきました。そんな折、仙波さんの絵をアート・グラスにする機会があり、絵を見せていただいた時、ジェマイユで作ろうと決めました。
数え切れないほどの色ガラスの破片を絵の具の代わりにし、絵筆のタッチまで表現するべく、1枚置いては絵を眺め、あるいは1枚置いては下のガラスと取り替えたり、試行錯誤を繰り返し、ようやく私の作るジェマイユが出来ました。
さまざまな個性のアーティストの作品を作る機会に恵まれ、私の創作の幅は広がっていきます。
〈野口ステンドグラス・野口 均〉
『 浅間山 』
若いとき、浅間山の美しい印象を油絵でSM(最小のカンバス)に描いた作品です。これを野口 均 氏のジュマイユ技法により、油絵を色ガラスに置換え、さらに光を加え、見るものの情動を刺激し迫力のある作品としていただきました。
『 ロッキー山脈 』
カナダ航空機上から見た雄大なロッキー山脈を一気に描き上げた作品です。当然、窓から眺める景観はゆっくりと変化する。私は一瞬ある時点で記憶した風景を一気に水彩でどこまで忠実に描けるかを試みた作品です。これも、ジュマイユ技法により1万メートルの上空を光と色で新しく表現したものです。