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昨年の春、心臓を患って1ヶ月入院した。入院してからずっと、早くアトリエに復帰して絵を描きたいと思っていたけれど、実際退院してからしばらくはアトリエに通うことも出来ず、何とかアトリエに来れても、長時間座っていられず、思うように絵が描けない日が5ヶ月くらい続き、とても辛かった。

8月のある日、パステルでイメージの女性像を描いたら、自分にとって満足のいく出来だったので、「俺もまだまだいけるかな」と前向きな気持ちを持てるようになり、新たな気持ちで描き始めた。私は、絵を描く時は、始めからテーマを決めて何かを表現しようと思ってはいない。描いている内に、だんだんと形のようなものが浮かび上がってくる。元々絵が好きだったわけでもなく、絵など全く描いて来なかった自分が、アトリエに来て15年間も描き続けている理由は、はっきりとは分からない。ただ、アトリエに来たら、席に着き何か描き始める、そんな習慣が自然と身に付いていったのだと思う。パステルに飽きたら、今度はボールペンで描いてみようと、その時々で画材を変えていく。そうやって15年間描き続けてきた。これからも、アトリエの〈場〉がある限り、描き続けていこうと思う。

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