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『東風 (TONG POO)』

この作品のモデルは高校の同級生である。元となった画像は卒業アルバムのモノクロ写真と、私の記憶がベースとなっている。

構想段階で、洋画で着衣像を、日本画で裸体像を描き、対比させる着想を思いついた。

課題としては、自己の記憶の和子(仮名 わこ)にどこまで似せられるか?そして和子の持つ凛とした空気感と魂の芯の強さ、及び朗らかな性格を、時代を超えた普遍性をもって描き出せるか?という超難しい課題を自らに課した。

結論から言えば、その2つの課題におけるクオリティコントロールは一応成功したと思う。発想から絵として定着し発表するまで、約2年半の歳月をかけた。その時間軸の中で気づいた事は、どれだけ己がこの制作過程でstruggle「もがく、戦う」しても、観客には、表層的な記号としての和子のポートレートとしてしか評価されないという事だ。しかし私は、表層を超えて、この絵に与えた普遍的な愛・青春・生(性)の再生(reproduction)というメッセージが伝わる事を願う。

もう一度結論めいた事を言うと、全力で戦って、精も根も尽き果てても、和子を描き出すまでがんばって、遂に彼女の希望と活力に満ちた像と魂をつかみ取ったと、確信している。

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