「マインド・レジスタンスⅣ」
アートに限らず、今この時代とても暗いニュースばかりが飛び込んで来る。僕は病者というよりも、一人の表現者として、出口を見つけるべく、日々制作し、思考をしている。資本主義は理想を離れ、もはや“マネー”という一種のファシズムに毒されて、アートもまた“マネー”の奴隷と化してしまった。僕が脱アートしたのは、同時にアートを蘇らせたいという決意も含めての宣言であった。まず、ビジネスのひとつのカテゴリーにファイルされようとしているアートというものの人間性の回復、つまり魂の器である美術というものを、本質的に戻すには、ファッションやコマーシャリズムからの甘い誘いにダマされることなく、絶対的な自我の確認とコミュニケーションによる表現への自信を取り戻すこと。そして、情念に回帰することこそ、美術が抱える道と信じる。
「コラージュへの提言」
キュビズムやシュールレアリズムやダダ、コラージュは、美術にとってひとつの確立した表現手法として定着して来た。しかし、欧米では、一方で著作権の過剰な規制が掛けられはじめている。日本の美術家もこの著作権でもって、一人の表現者が他の表現者に制約を加えてもいるのだろうか。知的とか文化は、人間社会で共有すべきものだろう。
アートは産業ではないんだ。表現の自由を本当に理解するならば、写真家に安易に著作権を与えるべきじゃないし、つまり、パクリといわれるものを蔑視する傾向があるが、昔の芸術家たちは、お互いに著作物、知的アイデアを共有しつつ育って行った。今の時代、有名作家になると、すぐに著作権侵害で訴えるが、その人が歴史から育てられたことを忘れている。