これまでの展覧会

テキスト 心のアート展

新型コロナウイルスの影響で延期された「心のアート展」が、こうして開催にまでたどり着けたことを、実行委員の一人として心から喜びたいと思っています。困難な状況にもかかわらず、創作活動をやめずに作品を応募してくださった皆さま、開催にお力添えをくださったスタッフの皆さま、本当にありがとうございます。篤く御礼申し上げます。

私たちは現在、自覚するかしないかは別として、「世界史の転換点」を生きているのだと思っています。世界を混乱に陥れた疫病が収束もみないうちに、北の大地では大国による理不尽な侵略行為がはじまりました。

世界が激動の渦中にある今、絵筆を握って画布へと向うことにどんな意味があるのか――。そんな疑問を抱く人もいるかもしれません。しかし、困難な状況だからこそ、私たちは「わたし」という感覚を奪われてはならないのではないでしょうか。

確かに今、世界では絶望的な出来事が起きています。しかし、世界が「絶望の色」に染まったからといって、この「わたし」までその色に塗り込められる必要はないと思っています。

「わたし」を奪われないために、「わたしなり」に色を重ね、「わたしなり」に線を引き、「わたしなり」に言葉を紡いでいく。そんな「わたし」を確かめ、「わたし」を愛おしむ営みが、無意味なことだとは絶対に思いたくありません。なぜなら、私たちは皆「わたしなり」にしか生きられない存在だからです。

毎回「心のアート展」から不思議な「励まし」を受ける気がするのは、たくさんの「わたしなり」の営みに出逢えるからでしょう。第8回展となる今回は、これまでにも増して、出品者一人一人の「わたしなり」に、静かに、強く、励まされたように思っています。

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