これまでの展覧会

テキスト 心のアート展

東京精神科病院協会主催の「心のアート展」は2009年に始まり、近年は隔年の開催という形が定着していたが、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大による影響を受け、今回の第8回展は3年ぶりの開催となる。

前回までと同様、今回も400以上の作品が集まり、同一作者による多数の作品が同時に応募される傾向も前回通りである。展示会場のスペースに制限があることから、類似の画風を持つ同一作者の作品では、その絞り込みに工夫が必要で、造形教室担当者に委ねられることも少なからずあった。

応募作品の写真を基に、より優秀な作品を絞り込む一次審査では、実際の作品とはサイズ等が異なるため、イメージがつかみにくい側面はあるものの、限られた時間内で全ての作品に目を通せるというメリットはある。但し、大きな作品や細部まで緻密に手が加えられた作品などは現物を間近で見ないと分からない部分が多いので、二次審査が必須なのである。

今回の一次審査は、2021年12月20日に東精協事務局にて実行委員や審査員が直接集まる形で実施されたが、この時期の東京におけるCOVID-19 新規感染者は1~2桁 / 日で、多くても40人 以下という状況だった。しかし、年明けの1週目あたりからオミクロン株による爆発的な感染拡大が始まり、二次審査が予定されていた2022年1月下旬には1日に9千~1万人超えという状況になった。そのため、平川病院での開催が予定されていた二次審査を対面で実施することは不可能となり、急遽、リモートで行なわれることとなったのである。

でも、カメラによる作品映像を、パソコンを通して見ることで行なう審査は、現物を間近で見るのとはまるで勝手が違う。各審査員の注文に応じた作品保存現場の担当者がカメラ映りや角度調整などを行なうことで、何とか応募全作品の審査を終えたのだが、リモート二次審査には4時間を要した。

「第8回 心のアート展」は、そのような背景のもとで開催されるものだが、開催期間時にCOVID-19の感染状況がどうなっているかは分からない。いずれにせよ、感染予防対策に充分配慮したうえで開催されるため、前回までとは違った雰囲気のものになるだろう。

13年目を迎えた「心のアート展」も、会場のレイアウトや作品の梱包や搬入・搬出、会期中の会場運営など、多くの方々のご尽力によって支えられている。あらためて、心より感謝申し上げる。

コロナ禍での開催となる訳だが、巣篭りや活動制限を強いられ続けた生活から一歩踏み出して、「第8回 心のアート展」をお楽しみいただけたら幸いである。

(2022年2月 記)

TOPに戻る