これまでの展覧会

テキスト 心のアート展

2009年に始まった東京精神科病院協会主催の「心のアート展」も今回で7回目となり、初回からは10年という節目にあたる。そして、今上陛下の生前退位と新天皇即位による新元号初年度の開催でもある。今回、展示会のタイトルは『境界を越えて ―生の原点に還る―』。

7回目ともなると作品の制作や応募もすっかり定着してきて、応募作品リストには常連といえる作者や会員病院が名を連ねている。今回の応募総数は430を超えたが、同一作者が多数の作品を制作・応募する傾向は前回以上で、それゆえ、類似の画風を持った作品から推薦に値する作品を選ばねばならないなど、審査は1作者1作品より難しく感じられることが少なからずあった。作品写真を基に、ある程度絞り込む一次審査では実際の作品とはサイズ等が異なるため、イメージがつかみにくい側面もあるが、現物の作品を間近で観る二次審査では印象がまったく変わる。会場に展示できる作品数が限られるため審査はやむを得ないのだが、選に漏れた作品にも素晴らしいものが沢山あったことは確かだ。

私は芸術や美術の専門家ではないので、それらしい表現はできないが、以前から「芸術性の高い作品とは、玄人や素人も含めた多くの人々を惹き付ける“何か”を感じさせるもの」だと思っている。そういった意味では、これまでの展示会に出品された多くの作品と同様、今回展示会の作品群もそれに当てはまる。専門家が認め、素人がそれなりに感動する。芸術は、それでいいんじゃないか? と思う。

10年目を迎えたアート展も、作品の制作や展示作品の選考のみならず、会場のレイアウト、作品の梱包や搬入・搬出、会期中の会場運営など、多くの方々のご尽力がなければ成り立たない。この展示会の開催を支えて頂いた多くの方に、あらためて心より感謝申し上げる。

「心のアート展」では会員病院等からの応募作品が展示のメインだが、その他に毎回〈特集展示〉が組まれており、今回のそれは『池袋モンパルナス』。詳細は他の解説に譲るが、ここ、池袋の東京芸術劇場でその作品が紹介・展示される。併せてお楽しみ頂きたい。

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