2009年に始まった東京精神科病院協会(東精協)主催による「心のアート展」も早いもので、今回が4回目となる。東日本大震災の影響で前回の開催時期がずれたこともあって1年半ぶりの開催だが、会場も第2回までと同様、池袋の東京芸術劇場に戻った。また、前回に予定しながら大震災のために実現できなかった『アトリエ・ノン・フェール(L’Atelier du Non-Faire)』の、多くの作品がフランスから海を渡ってやってきた。日仏、双方の作品を観賞できるわけだ。
国内の作品では、東精協の主催なので会員病院からの公募作品展示が主となるが、精神疾患の治療も受けつつ精力的に活動された画家・櫻井陽司氏の素晴らしい作品や、その足跡も展示される。
さて、今回展示される東精協会員病院からの作品だが、2012年12月中旬、平川病院で5時間弱の時間をかけて、審査員一同が二百数十作品を真剣に審査した。その際、作者の背景が分る作品については、その背景部分を併せて説明いただいたことも、より参考になったように思う。例年通り、思わず惹きつけられる素晴らしい作品が少なからずあったことも嬉しい限りだ。
今回のテーマ・タイトルは『それぞれの感性との出合い ―Rencontre étonnante de sensibilités―』であるが、フランス語を副題として添えたのは加賀乙彦審査委員長の発案による。フランスからやってきたアトリエ・ノン・フェールの作品が同時展示されるため、誠にふさわしい。
このタイトルに含まれる「感性」の文字。私は「心のアート展」第1回から好んでこの語を使ってきたが、それは、この展覧会に出される作品の多くに「凡人にはできない大胆な発想」、「凡人にはない素晴らしい感性」を感じるからに他ならない。もちろん、作品を観賞する側にもそれぞれの、「素晴らしい感性」があって、それぞれの感じ方、楽しみ方があるだろう。
皆様それぞれの感性で第4回「心のアート展」をお楽しみいただけると幸いである。