これまでの展覧会

テキスト 心のアート展

始まりに造形表現あり、苦難苦境=パッションを超えて作品が生み出される。そのような出会いを感じた第5回「心のアート」展の審査会場の雰囲気でした。

前回と同じく八王子の平川病院で審査が行われました。スタッフの方々の考えられた進行と練られた方式で運営され、去年よりもとても濃密なのにスムーズで、少し早く審査は進みました。これは一次審査での写真審査が的確に行われたため、二次審査のときはよく写真を覚えていたので現物の印象やサイズ感など写真では理解できない部分をよく検討することに集中できました。素材とか力感とか臨場感など写真では表現されない部分が良く見えてきたことも冷静に判断ができたと思いました。今回の審査は入選に足るべきかと言う消去法でのラインを引く見方でなく、それぞれの審査員が加点してゆき、その総合点が多い順に展示してゆく方式なので、わだかまりなく審査できたことも審査の進捗を早くしたと思います。

今年の作品の特徴は、世界のニュースや日本の現状などを踏まえて不安定な社会状況を反映してどうなることか懸念していた私を裏切り、それぞれがじっくりと取り組んだ造形表現で、作品に深みが出ていると感じました。本来もっとも不安定な立場の出品者の作品が表現活動によって癒され、ゆったりとしたおおらかな造形表現に結実していると感じました。表現するということが揺るがぬ人間の本質的な魂の強さを引き出していることを実感します。

前回の4回展に引き続き芸術劇場のギャラリーでの展示になりました。前回は「アトリエ・ノン・フェール」と「櫻井陽司」の特別展示があり、にぎやかでした。今回は病院での造形制作の草分け的存在である「高村智恵子」の特別展示もあります。私もいろいろな展覧会に出品してきましたし、沢山の展覧会も見てきましたが、「心のアート展」ほど観客の方々が長く会場に居る展覧会は無いと思います。私の友人も見に来てくれた人は殆ど1時間以上2時間も会場にいて他の方と話し合い楽しんでいきます。特にあまり造形に興味もなくお付き合いとして参加してくれる人までとてもゆっくりとくつろいでいくのが驚きでもあり、羨ましくも思います。グラスアートのワークショップも楽しみに来る方も多く、いろいろな方との出会いは毎回の楽しみです。

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