これまでの展覧会

特集展示 L’Atelier du Non Faire 心のアート展

東京精神科病院協会(東精協)から「心のアート展」へご招待頂いたことは、ノン・フェールの活動にとって大いなるエネルギーの源泉となります。わたしたちの活動が新たな次元へと一歩を踏み出し、メンバーひとりひとりが自らの果たしうる社会的な役割を自覚するきっかけともなりました。この機会は、ノン・フェール創立30周年の節目として、これまでの成果を振り返り評価するというよりは、未知の領域への新たな旅立ちとして捉えられるべきでしょう。

ノン・フェールは今日まで、個々の内面的な欲望が豊かに表現されることを歓迎する場であり続けてきました。その表現がいかなる方法によるものであっても、です。だからこそ、ひとりひとりの人間がそれぞれのあり方で、そこに存在することができたのでした。

DDAは、ノン・フェールで生み出された表現が広く受容され、メンバーたちが病院の外で生きるきっかけとなるような、絵画展やコンサートを通した地域との交流を支援しています。東精協の「心のアート展」への出展もその一環であり、地域の中での活動の意義を伝えてゆく、すばらしい機会となることでしょう。

わたしたちは「ノン・フェール」の精神や思想を尊重しつつ、職業的義務感というよりは、生きた感情を持つひとりの人間としての責任感のもとに、様々な文化的プログラムを企画しています。そのことによって、多彩な創作活動が展開され、真のアーティストたちが生まれていくと信じています。また、このような活動をさらに発展させるかたちで、創造活動に携わろうとする後進たちの育成を目指し、それぞれの資質を高めるために必要な支援をするフォーラムを3ヶ月ごとに開催するという試みも行っています。

合気道家であり哲学者でもあった津田逸夫は、自身の著書(1973年)の中で「何もしないこと(Non faire)」は「気」の根本原理であると述べています。これを読み、自分たちの活動との共通性を見いだしたアトリエの最初の表現者のひとりであるEvelyneが、1983年にアトリエを“ノン・フェール”と名付けたのでした。

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