これまでの展覧会

テキスト 心のアート展

東京精神科病院協会の「心のアート展」は第3回目を迎える。今回はテーマを「生命の光芒一再生と律動」とし、秋葉原の新しい会場で開催する。

公募作品はどれほど集まるかは心配であったが、前回より多い19施設から約294作品が出品された。その内容も多彩で審査会も非常に充実したものとなった。

応募作品は、油絵、水彩、スケッチ等の絵画のほかにも、陶芸部門、工芸部門の作品も多彩な作品がそろっていた。スケッチブック1冊を提出された方もいた。今回は比較的小品が多かったが、内容が優れており、同一作者の連作として優れており、5、6点まとめて展示をすることにしたものもあった。昨年には見られなかった多くの方々による、共同作品の中にも表現の斬新さが印象に残る作品も見られた。100号以上の大作の中には迫力のある作品が多くあった。この中には常連の作者が昨年に引き続き出品されていた。

このアート展では、表現形式にこだわらず自由、多様であるが、いずれにしても作者の自由な自己表現が共感を呼び起こしている。審査にも時間がかかった。私は作者の持つ感性が見るものをしてどれだけ共感として伝わってくるかの視点で審査を行った。約3時間半の審査会は緊張のうちに終えた。

今回も昨年と同様に賞を設けることになり、その候補となる作品を各審査員が選び、これらをさらに検討を加えて決定することとした。ふたをあけてみると各審査員の評価は一致していたようにおもう。審査を終わり今年も見ごたえのある展覧会になるだろうという手ごたえを感じた。

今回のアート展では新しい企画として1)特集展示として「名倉要造」作品の展示、2)特別展示としてフランスの「アトリエ・ノン・フェール」から、多くの作品展示と多数の交流団が来日されることになっていたが、今回の東日本大震災のために来日が延期となったことは残念である。3)日本における、ホスピタル・アートの取り組みが紹介される。日ごろからこのアート展の原動力となっている平川病院、東京足立病院に加えて茨城県の袋田病院での活動が紹介される。病院の医療環境の中でのアートの役割の重要さについて最近注目されている。これらのホスピタル・アートの活動に取り組む病院が今後増えることを願ってやまない。

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